観葉植物を育てるうえで、植物の育成に必要な要素を知る事は重要です。植物に必要な元素は17種類、「必須元素」と呼ばれています。16種のうち炭素(C)、酸素(O)、水素(H)は空気や水から取り込み、残りの14種は土壌から取り込みます。植物の肥料の成分で最も必要なのは3要素と言われている窒素・リン酸・カリウムですが、大量に必要となるため肥料で補う必要があります。それぞれの役割を整理しておきましょう。
ハイドロカルチャー向けの肥料としては、バランスのいい「微粉ハイポネックス」がおススメです。
三大栄養素その1、窒素(N)
元素記号Nで表記され、硝酸を取り込み、植物がアミノ酸を作り、さらにタンパク質をつくる生命維持に重要な物質です。不足すると生長が阻害されますが、過剰摂取をすると病気に対する抵抗力を下げてしまいます。
窒素の働き
植物細胞のタンパク質を構成し、植物を大きく生長させる作用がある。特に葉を大きくさせやすく、葉肥(はごえ)と言われています。
窒素が足りないとどうなる?
葉色が全体にかけて淡くなり、黄色や黄緑色になってきます。また、生長点の葉が小さくなったり、根の発達が弱まり植物の生長が遅くなります。
窒素が過剰になるとどうなる?
窒素を過剰に与えると、植物体が徒長し、軟弱になるため病虫害に侵されやすくなります。
三大栄養素その2、リン酸またはリン(P)
元素記号「P」はリンを表しますが、肥料として使う場合は、リン酸塩の形で吸収されるため、リンではなくリン酸と表記したりします。
リン酸の働き
植物のエネルギーを運ぶATPという成分を作りだすのに使われ、開花結実を促進します。花肥(はなごえ)または実肥(みごえ)と言われ、苗の発育、根の活性化、花を咲かせる、実の成育を促します。
リン酸が足りないとどうなる?
根の発育が不足する事で、全体的に育ちがよくありません。花の数が減ったり、開花、結実が遅れるなどの弊害が出てきます。また、葉色が濃い緑色や赤紫色になったりします。
リン酸が過剰になるとどうなる?
リン酸の過剰摂取による植物への影響はほとんどありませんが、3大栄養素以外のマグネシウム(苦土)や鉄、亜鉛の不足を助長します。
三大栄養素その3、カリウム(K)
カリ(加里)と略すことも多い。主に根の発育と細胞内の浸透圧調整に関係するため根肥(ねごえ)といわれる。水溶性のため流亡しやすいので、追肥で小出しに与えるのが基本。
カリウムの働き
植物の育成を促し、植物の組織を強くする。茎や根を丈夫にし、暑さ・寒さに対する抵抗力や病気への抵抗力を強め、日照不足による成育速度の低下を抑えます。
カリウムが足りないとどうなる?
茎が貧弱になり、葉の先や周りが黄色や茶褐色になったり、不規則な斑点ができたりする。
カリウムが過剰になるとどうなる?
カリウムの過剰摂取による植物への影響は外見上見えにくい。3大栄養素以外のマグネシウム(苦土)や鉄、石灰の不足を助長します。
その他の栄養素(中量要素)
石灰・カルシウム(Ca)
植物内の糖の移動に関与しています。また、細胞を安定させる役割をもち、不足すると根の育成が抑制され、根腐れが起きやすくなります。
苦土・マグネシウム(Mg)
葉緑素を構成しています。不足すると葉が黄色くなり、光合成が弱まります。リン酸の働きを助けます。
硫黄(S)
窒素とともにタンパク質の主成分です。
その他の栄養素(微量要素)
鉄(Fe)
葉緑素を作るのにかかせません。
マンガン(Mn)
葉緑素やビタミンの合成に関わります。
銅(Cu)
葉緑素を作ります。
ホウ素(B)
新芽や根の成育を促します。
亜鉛(Zn)
新しい葉を作るのに活躍します。
モリブデン(Mo)
ビタミンの合成に関わります。
塩素(Cl)
光合成に関わります。
ニッケル(Ni)
様々な酵素を活性化させます。
まとめ
三大栄養素の役割を整理しました。それぞれの役割、不足した場合の症状を把握しておけば、植物を管理がぐっと楽になります。園芸コーナーでたくさん売られている肥料選びの迷いもなくなりますね。
容器に水を貯めるハイドロカルチャーでは肥料のやりすぎは特に注意が必要です。適切な量を少しづづ与えてください。