シダ科の植物で耐陰性はバッチリのアスプレニウム。自然界では岩に張り付くくらいなので、もちろんハイドロカルチャーで育てることも可能です。
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アスプレニウムとは?
全世界に広く分布している常緑のシダで、650以上の品種があります。日本にも自生するアスプレニウム・ニドゥス(シマオオタニワタリ・アビス)は葉に切れ込みの入らない品種。アスプレニウム・ブルビフェルムなどは葉に切れ込みが入る品種で、生長すると葉に子株を付けるのでマザーファンの通称で知られています。
自然での様子は?
ジャングルの大木の幹や岩場などに張り付いたり、湿潤な森の地表に根を張って大株になります。室内のハイドロカルチャーでも大きく成長させることができますよ。
名称 | アスプレニウム | ||
科・属 | チャセンシダ科・アスプレニウム属 | ||
学名 | Asplenium | ||
原産地 | 世界各地の熱帯~寒帯 | ||
ハイドロ適正 | 〇 | ||
日当たり | 日なた | ●半日陰 | 日陰 |
耐陰性 | 〇 | ||
育成照度 | 1,200lux | ||
光補償点 | 500lux | ||
温度 | 5℃以上 | ||
乾燥 | 普通 | ||
樹高 | 0.3~0.8m |
アスプレニウムをハイドロカルチャーで育てる5つのコツ
アスプレニウムはどこに置くべき?
ジャングルで育つアスプレニウムは、高温多湿の半日陰を好みます。耐陰性は強いのですが、光が不足すると葉先から黄色く変色していきます。カーテン越しの光を当てると丈夫な株に育ちますよ。また、乾燥しないように冷暖房の風が直接あたらないようにしてください。
水の与え方(春~秋)
水やりの基本は、よく「土が乾いたらたっぷりと与える」と言われていますが、ハイドロカルチャーでは乾燥よりも、根腐れしないように水やりすることが大切です。特に夏場は容器に残った水が温まりやすいので注意しましょう。植え付け材の種類によって水のやり方が違うので注意してください。
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水の与え方:ハイドロボールなど腰水タイプの植え込み材の場合
ハイドロボールなどの腰水タイプの植え込み材を使ってのハイドロカルチャーでの水やりのコツは、一度、水につかっている根を空気に触れさせて呼吸させてあげること。ハイドロボールには無数の穴が空いており、容器の底に水がなくなっても、細かい穴の中に水を貯めこんでいます。即水切れを起こすというわけではありません。容器の底に水がなくなったら、2~3日待ってから水を与えるようにしましょう。
水の与え方:セラミスグラニューなど保水タイプの植え込み材の場合
セラミスグラニューなどの保水タイプの植え込み材を使ってのハイドロカルチャーでの水やりのコツは、容器の底に水を貯めないこと。
セラミスグラニューが乾いてから、容器の四分の1~五分の1程度の水を与えると、植え込み材が水を吸い込み、底に水がたまることはありません。水を多く与えすぎた場合は、容器を傾けて水を捨ててください。
肥料の与え方
ハイドロカルチャーでアスプレニウムを成長させるためには、肥料で栄養を補給してあげましょう。ただし、ハイドロカルチャーで育てる場合、直接根に肥料があたってしまい、根を痛める原因になります。土植えの時と同じ肥料であれば、10倍以上に希釈するか、ハイドロカルチャー用の希釈倍率の表記がある液体肥料を使ってください。
肥料を与えるのは春〜秋のよく成長する時期だけでOKです。水を与える2回に1回程度水やりの代わりに肥料を与えてください。
冬場の管理
冬場は5℃以上必要なので、室内の温度が一定の場所に置いてください。水分も冬場はあまり必要ではありません。
やや乾かし気味に管理して、根腐れしないように注意してください。ただし暖房で空気が乾燥しているときは葉水をしっかり与えてください。
土植えのアスプレニウムをハイドロカルチャーへ植え替えるには?
土植えのアスプレニウムをハイドロカルチャーに植え替える手順を解説します。
土植えのアスプレニウムを植木鉢から取り出す
葉っぱがちぎれないように、しっかり持って鉢を逆さにして取り出しましょう。丈夫な植物なので、多少強引でも問題ありません。
付着している土を完全に取り除く
ハイドロボールに植え替えるのなら、土を完全に取り除きます。水を使って綺麗にあらってください。アスプレニウムの根は絡まりあっているので土をとっていくのはかなり大変です。根が詰まっているのなら、3分の1くらいは根をカットしてください。
セラミスグラニューのような保水タイプの植え込み材を使う場合は、土を完全に落とす必要はありませんよ。
植物を入れる容器を用意する
ハイドロカルチャーで使う容器は穴が開いていなければ何でも使えます。お気に入りの器を用意してください。陶器の器を使う際には水位計があると水の管理が便利ですよ。
根腐れ防止剤を入れる
根腐れ防止に力を発揮するのがミリオンAです。こちらを底に敷き詰めます。ミリオンAの成分は珪酸塩白土という天然の土。根腐れ防止、水の活性化、ミネラル補給、光合成の促進など様々な機能を果たします。
ハイドロボールを三分の一くらいまで入れる。
ハイドロボールを使うなら、まずは軽く洗って小さな欠片などを取り除いておきます。その後、容器の底に土台となるだけのハイドロボールを入れてください。
アスプレニウムを設置
アスプレニウムのボリューム感が活きるようなアングルを探してアスプレニウムを設置します。根が固まらないように、土台のハイドロボールに広げて設置しましょう。
ハイドロボールを敷き詰める
設置したアスプレニウムの周りに残ったハイドロボールを敷き詰めてアスプレニウムを安定させれば完成です。ハイドロボールが全体にいきわたるように、細かく調整します。根の下などは大きな隙間ができていることがあるので、容器をゆすったり、割りばしなどの棒でつついて隙間なくハイドロボールを満たします。
水を入れる。
植え込み材ごとに水を加えてください。腰水タイプなら容器底に1/5ほど貯まるくらい。保水タイプなら容器の1/4ほどの水を入れて底に水が貯まらないように植え込み材に保水させます。
ハイドロカルチャーへの植え替え後の管理方法
植え替え直後の管理方法
土植えからハイドロカルチャーに植え替えたら、一週間くらい日光の当たらない部屋で休ませてください。植え替えたばかりの根は傷ついていることが多く、そのときに強い光を当てると植物が弱ってしまいます。また、根が傷ついているときに肥料は与えないようにしてください。
その後の管理方法
ハイドロカルチャーは土栽培とは違い、植物の新陳代謝で発生したゴミなどを微生物が分解することなく、容器の底にたまります。一年に1回、5~6月頃にハイドロボールと根腐れ防止剤の入れ替えを行いましょう。
根腐れしないために
根腐れしないように、ミリオンAを入れ替えます。取り出したアスプレニウムは水で洗って腐った根を取り除いてください。根にからまったハイドロボールを無理して取る必要はありません。
ハイドロボールを綺麗に洗う
ハイドロボールやセラミスグラニューは綺麗に洗えば再利用できます。また、雑菌やカビが気になる場合は煮沸消毒してください。汚れが気になるのであれば、新しいものに替えましょう。